紙媒体のデザインをする上で紙選びは必ず通る道といっても過言ではありません。紙によってできあがりが全然変わってきますから、デザイナーの知識と腕がものをいう工程でもあります。
今日はJACO-BASSの名刺を作る過程で印刷業者の方から聞いた話をここでも紹介してみようと思います。
厚さ
厚さの単位はいくつかありますが、最もポピュラーなのは「kg」だと思います。kgとは本来重さを計る単位ですが、紙が原紙1000枚分の重さが何㎏になるかをもとに厚さを定めているので、この単位が使用されています。
活版印刷は圧力をかける印刷で、その際にできる凸凹に魅力を感じる方が多いようで、かく言う中村もその内の一人です。
その凸凹をより強調したい場合はできるだけ厚い紙を選ぶと良いでしょう。JACO-BASSの場合、用途が名刺だったので名刺ケースに複数枚入れることを念頭に厚くなりすぎないよう注意しましたが、そのようなことを考える必要がない場合はかなり厚い紙を使うのも面白いかと思います。
写真の紙は印刷業者さんもお気に入りの仕事だそうで、紙は特Aクッション(コースターに使われるような分厚い紙)で活版印刷が最大限活かされています。名刺には不向きですが、すごく格好良くてホレボレします。
kgの他には「厚口・並口」のように表示されるものもあり、この場合は手で触ってみて、どのkgの厚さに近いかを比べてみれば良いと思います。
硬さ
紙には厚さの他にもそれぞれ硬さがあります。以前このブログでご紹介した「ウェブロン」という紙は非常に柔らかくコシがありません。持つとフニャッと曲がります。
そのような紙だと活版の圧力が十分に伝わらず、インクを乾かすために紙を寝かせている間に表面の凸凹が元に戻ってきます(完全にではありませんが)。
そのためある程度の硬さを確保した紙でないと折角の活版らしさを表現しきれません。ただあまりに硬いと今度は圧力をいくら加えてもそもそもの凸凹がつかないなんて事態になるので、適度な硬さを見極めましょう。
ただし、紙には厚さのように硬さを計るための単位が存在しませんから、手で触った感触で確かめるしかありません。最終的に活版に慣れた印刷業者の方や紙屋さんに相談することをオススメします。
色
色に関しては活版印刷云々ではなく、何色のインクを使用するのか?というビジュアルの部分に関わってきますので、モノクロかカラーか?カラーなら何色使うのか?特色は使うのか?などなど予算と相談しながらインクに適した紙を選べば良いと思います。
ただし、同じ白でも黄色がかったものから純白まで様々で、照明によっても見え方が変わってくるので、自然光・蛍光灯・電球などなど色んな照明下で紙見本を見た上で決めると仕上がりにも満足できるかと思います。
表面の質感
ザラザラなもの、フラットなもの、コルクや竹を編み込んだようなものまで紙には様々な表情があります。どんなビジュアルイメージなのかにもよりますが、活版をするならそれがよくわかるような質感の紙が良いのは当然です。
凸凹感だけを強調するならフラットな方が際立つし、紙自体の表情と合わさって味のある印刷に仕上がることもあります。ザラザラな紙であれば文字のエッジに滲みや掠れが出やすいでしょう。
樹脂加工やコーティングされた紙、金や銀、パール紙のような紙はインクがのりにくいかもしれないので、滲みが多く活版とは相性が悪いかも知れません。
とは言え、ある程度の予想はできても実際にどのような効果があるかは刷ってみるまでわからないこともあるので、紙を持ち込んでサンプルを刷って貰うと良いでしょう。
まとめ
- 凸凹感が活きる厚さを選ぶ
- 柔らかすぎず硬すぎない適度な硬さの紙を選ぶ
- ビジュアルに合わせたインクと紙の色を選ぶ
- どのような効果を出したかによって表面の質感を選ぶ
以上の点を抑えた上で紙を選ぶと自分のイメージにあった印刷になるんではないでしょうか。活版やってみたいけど紙の選び方がわからないなんて人は参考にしてみてください。
補足
活版印刷の特徴は凸凹感だけではなく、人の手による印刷を思わせる掠れ・滲みなどの味がでることですが、印刷業者さんに言わせれば「それらは全て失敗によるものだから、近年デザイナーの方からわざと掠れや滲みを出してくれと頼まれると複雑な気分になるし、出せといわれて出せるものでもない」そう。
その狙って出せない偶然性、どんな結果になるかわからないワクワク感が楽しかったりする分けですが「掠れや滲みを出して」って言う時は申し訳なさそうに頼むと良いかもしれませんよ(笑)







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